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森の名手・名人


(社)国土緑化推進機構では、「もりのくに・にっぽん」運動として、平成14年度から「森の名手・名人100人」を毎年、全国から公募・選定しています。
「森の名手・名人」は、森林に関わる分野において優れた技や知見をもってその業を極め、生活者の模範となっている達人のことです。

当ページでは、この達人に奈良県から選ばれた皆様方のご紹介をさせていただきます。


▼ 平成19年度以降の認定者



◆ 平成18年度に認定された方々

【加工部門】
大塔坪杓子
新子 薫 さん(五條市大塔町)
五條市大塔町の南東部、大峰山系を源とする清流「小原川」に沿って点在する集落は「舟の川郷と呼ばれ、古くより栗などの雑木を材料に手彫りの杓子や椀を作る木地師の人々が暮らしていました。昔はほぼ全戸が木地師の仕事に携わっていましたが、需要が少なくなると共にほとんどが転職・離村し、いまでは新子さんただ一人が貴重な木地師の技術を伝えておられます。

【加工部門】
杉桶製造
松谷 一二三 さん(吉野郡下市町)
密植多間伐と卓越した育林技術によって生み出される銘木吉野杉を使って、江戸時代から作られてきた酒樽の技術を得て、各種手桶、飯切り、お櫃などを主に製造しておられます。中でもお櫃については、昭和天皇・皇后両陛下がお買い上げになった逸品です。14歳で桶作りの技術を学び、18歳で独立。約60年間吉野杉を使い桶を作り続けてこられました。時代の流れで下市町の桶職人が次々に倒産・廃業していくなかで、桶一筋にこだわり続けられておられます。

【森づくり部門】
樽丸製造
栗山 晴昇 さん(吉野郡吉野町)
昭和38年、吉野林業の伝統技術を誇る樽丸の生産加工技術を父から受け継ぎ、技能の研鑽に努めて精励し、機械に頼らない特殊な手作業の分野で技能を収得しておられ、現在においては大手酒造メーカーからの樽丸受注も一手に引き受ける等、吉野地方及び県下を代表する数少ない伝統技術を保持する丸師です。また、後継者に対し技術と伝統の継承に努めるなど、地場産業の振興に大きく貢献しておられます。

【森づくり部門】
大径木の伐採造材出材
福本 雅文 さん(吉野郡川上村)
吉野林業の中心地川上村で父親から20年間、植林から伐採出材まで徹底した指導を受け、伐採造材を一人でこなせる高度な技術を身につけられました。特に林業技術者として、大径木の伐採造材、索道架線の技術は高く評価され、高齢化による林業技術の激減している中で、大径材伐採出材の第一人者として広く認められておられます。現在は県内外への大径材伐木も選定、伐採、造材指導に多忙な日々を送っておられます。また、平城旧跡の朱雀門用材として250〜300年生目通り周囲3.5〜4mの伐木と出材に関わった経験ももっておられます。

【森の恵み部門】
キノコ栽培
崎 昌助 さん(吉野郡野迫川村)
昭和50年代に林業経営の傍ら原木シイタケ栽培を始められました。野迫川の自然を生かした独自の栽培体系を築き、特に冷涼な気候と清浄な水を存分に生かした夏期発生の生シイタケは、他に類を見ない一級品です。また、シイタケ栽培だけでなく、村内の広葉樹を使ったナメコやヒラタケの栽培にも早くから取り組んでおられます。これらを組み合わせた「キノコセット」は川崎ブランドとしてその評価は極めて高く、大阪などのデパートや自然食品の店頭に並び、長年固定客を引きつけておられます。


◆ 平成17年度に認定された方々

【加工部門】
神酒口の製造
大川 文子 さん(吉野郡下市町)
神酒口の材料には、粘りがあり、清浄な香りを放ち、光沢がある吉野桧がつかわれており、下市町の神酒口作りは300年の歴史を持っています。先祖代々神酒口を作っていた家の後継者がとだえ、依頼された大川氏夫妻が技術を継承し、伝統工芸士に指定された夫が亡くなられた後も絶やさず作り続けておられます。今では、下市町の神酒口作りをするのは大川氏ただ一人となっており、全国で数少ない伝統工芸品の制作技術の継承者です。

【森の伝承・文化部門】
木の葉笛吹奏
吉野 武文 さん(吉野郡野迫川村)
吉野さんは、林業に従事する傍ら、自宅と自家山林に約300種に及ぶ樹木や山野草を植栽するなど常に森林に関わってこられました。そうした中で身につけた余技の一つが木の葉笛で、極めて優れているものであり、聴く人を魅了しています。葉が薄く鋸歯の少ないクロモジ等の葉を用い、両手の指で木の葉の両端をかるく横に引っ張り、破れないように適度に張りながら軽く上唇にあて、口を横に細めて息を吹く独特の吹奏方法です。

【森づくり部門】
伐木・造材
柳澤 勝 さん(宇陀市菟田野町)
柳澤さんは、特に「つり伐り」と呼ばれる手法を用いて人家、神社の境内、墓などの近くで直接伐倒できない場所での大径木伐採を行っておられます。この「つり伐り」は25m以上もある樹木の先端より玉切伐採する方法で、長年の経験に裏打ちされた高度な架線架設技術、伐採技術を必要としているため出来る人がほとんどいません。そのため柳澤さんは県内外から指名で依頼を受けるなど第一人者として活躍されておられます。


◆ 平成16年度に認定された方々

【森づくり部門】
振子(ふりこ)
上西 康公 さん(橿原市在住)
上西さんは、高等学校を卒業後、吉野木材協同組合連合会に勤務されました。当連合会の市場は吉野材が集散する市売市場として、定例市をはじめ全国銘木市、記念市、県林材大会市が定期的に開市されています。原木は買い市によりセリ落とされますが、上西さんはその立役者である振子(ふりこ)として積材に立ち、永年の吉野材に精通した鋭い目利きによって、鐘の一振りで、その日の材価を決定づける値付け人の第一人者として、現場に執着してこられました。日本一の値付けをする振呼として、その手腕は業界内でも高く評価され、吉野林材業の発展に貢献しておられます。

【加工部門】
大径木の伐採・造材
中平 寛司 さん(吉野郡川上村在住)
中平さんは、吉野林業地域の中心地である川上村に生まれ育った生粋の林業人です。吉野林業の神髄を受けながら、林業技術者として熟練した大径材の伐採、造材の技術は、永年の鍛練で培われたものです。過去には薬師寺・朱雀門など神者仏閣の普請用材として、スギ・ヒノキ280〜360年、目通り3.60m〜5.40mの伐採も手掛けてこられました。平成15年から、仲間8名と共に川上村の巨樹・古木・珍樹の調査隊を編成し、その地域の貴重木や保護すべき樹林・林床植生など、現地調査及び資料の収集と集積を手掛けておられます。



◆ 平成15年度に認定された方々

【森づくり部門】
野鳥判定
小船 武司 さん(奈良市在住)
小船さんは、高校時代は生物クラブに所属して野鳥観察に夢中となり、大学でも鳥の生息状況を調査されていました。昭和42年、日本野鳥の会奈良県支部の発足と共に本格的に鳥類研究に参加し、平成7年には支部長に就任されました。この間、奈良県の野生動物の安定的生息と森林その他の植物環境の保全を志し、昭和47年には奈良県の鳥獣保護行政に身を置き、21年間一貫して鳥獣保護を担当されました。現在、野生鳥獣の生息状況調査や野鳥観察会を積極的に行い、姿や鳴き声から野鳥を瞬時に判別するだけでなく、地域の生息状況から生態まで幅広い知識を持っておられます。また、春日大社及び奈良の鹿愛護会等での経験から、ニホンジカやカモシカの知識にも精通していおられます。



◆ 平成14年度に認定された方々

【森づくり部門】
杉の種取り
杉本 充 さん(橿原市在住)
吉野林業は、スギ80年生以上の優良母樹から種子を採取し、その実生苗の植林が行われてきました。杉本さんは、高い木をブリ縄で登り、種子を採取するという県内でもたぐい希な技術の持ち主です。さらに、80年生以上の林分から優良母樹を選抜し母樹を傷めないよう技を選定する技術や、優良種子の選別など、優れた眼力の持ち主であり、今日の吉野林業を支えてきた陰の第一人者といえましょう。現在では、吉野林業の優良種苗育技術の伝統を守るべく、その伝承に務めておられます。

【加工等部門】
木取り
片岡 晃 さん(桜井市在住)
吉野林業で生産される優良原木は、永年培われた製材技術によって我が国を代表する優良材として供給されています。片岡さんは、この原木から柾角・長押などの部材を採材する仕方を見極め、より高品質の製材品を生み出す「木取り」の名人で、卓越した製材技術の持ち主です。また、現在の製材技術は帯鋸盤が主流となっていますが、国産材の製材は丸鋸盤が基本であるという信念を持っておられ、その技術を後世に伝えるべく後継者の育成にあたっておられます。